コビキ沢~定山渓神威岳(983㍍)~神居沢=2013年7月21日
札幌市民の水がめとして、豊平川本流をせき止めて1972年、豊平峡ダムが完成、定山湖ができた。しかし札幌の人口増はとどまることを知らず、さらに新たな水がめとして豊平川の支流・小樽内川をせき止めて、1989年、定山渓ダムが完成、ダム湖・さっぽろ湖ができ上がる。このさっぽろ湖の完成で、いくつかの沢がダムを支える水源と化すことになる。かつて札幌近郊随一の名渓と謳われて、夏になると札幌の岳人が「入門」沢山行などでこぞって集まった木挽沢はその代表格の沢である。そして、岳人の足が遠のいて相当な年月が経っている。
名渓の下流部はダム湖の一部となっており、かつての名残は見る影もない。最近の記録はいくつかあるが、完全遡行に近いものは見あたらない。途中で引き返して林道を下るくらいのものである。
今、名渓はどうなっているのだろう。できるだけ沢沿いを忠実にたどり、藪をこいで神威岳まで達し、南面を流れ落ちる神居沢を下る沢縦走として計画した。沢からピーク、そして沢を下ることにこだわった。総歩行距離は16.776㌔。
この日の軌跡
エッセンス部分の動画
■メンバー
マルちゃん、マイケル、ひとみ、ハルカ、taiki、フナコッシ、boco、shogo、黒猫
■タイム
さっぽろ湖・木挽沢林道ゲート前6:45→沢床(入渓)7:10→登山道10:40\10:50→神威岳山頂11:00\11:30→神居沢川下降地点11:50→神居沢川林道14:50→神居沢川林道ゲート15:25(下山)
コビキ沢
神威岳山頂の登頂記念ショット。バックは百松沢岳南峰
神居沢
沢筋にはまだ雪渓が残っていて、その周囲では食べごろのウド畑が広がっていた
木挽大橋から見たコビキ沢下部。湖の一部となっている
下山口に当たる神居沢川林道ゲートに車2台をデポして、さっぽろ湖に架かる木挽大橋脇の駐車帯に車を置いて木挽沢林道を歩き出す。林道を歩かず、早めに沢床に降りて遡行を開始したいとの考えから、ゴルジュ地形が連なるあたりに見当をつけて斜面を下って入渓した。出だしはゴルジュ的雰囲気を醸しだし、緑のトンネルが続き、なかなかいい感じだ。
緑のトンネルのもと、ナメ、小滝、釜、苔むした渓相…。湖に沈んだ下部は分からないが、入渓地点より上流に出てくる光景は、この沢がかつて名渓と呼ばれた理由をしのばせるに十分だ。滝の登り、釜のへつりはどれも易しいが、コンパクトに沢の魅力が詰まっていて楽しい。懸念していた倒木、流木の堆積はなく、杞憂に帰した。
沢慣れしていないメンバーのために一部の滝でザイル確保し、短い藪こぎを経て登山道に飛び出し、山頂に達した。どっこい、名渓は短くなっても健在なり。きっと他のメンバーもそう思ったことだろう。
いつも国道230号を走っていて印象的な神威岳山頂からは札幌南部の眺望が素晴らしい。
今日はいつもとは逆に、山頂からの眺望を楽しみ、昼食を取ったあと、登山道をしばし使って、標高760㍍の神居沢川下降地点から藪をこいで沢床へ。c700くらいから水流が出てきて、ナメ床が続く沢を下った。沢はそのうち、倒木、流木が目立つようになり、堆積木がせき止めたたまり水が目立つようになった。きれいな木挽沢を見てきた後だけにその落差を感じてしまう。滝一カ所で懸垂下降し、林道に上がって下山した。結果的にはまったく難しいところもなく、下降ルートとして使って正解だった。