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【山行部】山スキー沢~札内岳、エサオマン川本流~エサオマン岳(2012年7月28-29日)

日高・札内岳(1896㍍)=山スキー沢、エサオマントッタベツ岳(1902㍍)=エサオマントッタベツ川本流<2012年7月28-29日>
■メンバー(6人パーティー)
 ごっとん、ひとみさん、丸ちゃん、半ちゃん、モジコ&黒猫
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■タイム
<27日>
札幌夜発⇒車止めゲート(戸蔦別川第6号砂防堰堤横)
<28日>
戸蔦別林道車止め5:20⇒エサオマン本流入渓6:10/25⇒山スキー沢出合(c997二股、BCを設営)8:55/9:50⇒c1150スノーブリッジ帯10:40/50⇒c1380二股11:30/40⇒<左沢>⇒札内岳西峰直下c121513:40/45⇒c1380二股15:40⇒山スキー沢出合BC17:20
<29日>
山スキー沢出合BC5:35⇒北東カール7:15/45⇒札内JP東の稜線上8:30/45⇒エサオマン岳山頂9:35/10:05⇒BC13:15/50⇒17:05戸蔦別林道車止め
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■総括
 「北海道100名山」札内岳(1896㍍)ハントにあくなき思いを寄せるひとみさんの意を汲んだ計画が端緒だった。札内岳には5つの沢ルート(ガケノ沢、ピリカペタヌ沢、記念別沢、札内川、山スキー沢)があるが、当初はピリカペタヌ沢からのアプローチを想定していた。しかし、多少の降雨でも計画遂行できることを考え、沢中アプローチの長いピリカペタヌ沢よりは、増水時にも動きやすいエサオマン沢支流の山スキー沢からのルートがより確実と考え、計画を立てた。さらに、せっかくエサオマン沢を行くならばついでに主稜上のエサオマントッタベツ岳(1902㍍)もーと、山スキー沢出合c997二股にBCを設営して日高の名峰Wアタックを目指すことになった。ちなみに、「山スキー沢」の名は地図上にこそ名はないが、学術論文にも登場する呼称であり、登山関係者の間では、エサオマントッタベツ川左股というよりは、定着した呼び名と言ってよいようだ。
 28日の天気が余り良くなく、BC出発が遅くなったこともあり、札内岳西峰直下で「時間切れ」と判断せざるを得ず、ひとみさんの思いは、あと一歩のところで実現に至らなかった。結果的には、天気に恵まれた29日に札内岳を持ってくれば確実に落とせたと思われ、ひとみさん、お許しを。
 山スキー沢出合(c997分岐)にはテント一張り分の手ごろなスペースがある。あとは河岸段丘上にササを刈って整地して確保することになるだろう。
 山スキー沢、エサオマン本流ともに、長いナメ滝があるが、山スキー沢のナメ滝の方が長く、傾斜があり、下りはより慎重さが求められ、難易度は高い。我々は、山スキー沢の下りで一か所、懸垂下降で対応した。
 山スキー沢の登りルートでは、C1380二股で水量の多い左股を取り、西峰への直登ルートを目指したが、最後の急傾ブッシュにてこずった。早目に札内JPにつながる尾根を目指した方が得策だったかもしれない。
 昨年8月上旬に「ガケノ沢~札内岳~山スキー沢」に入った山友情報によれば、山スキー沢には雪はなかったとのことだったが、山スキー沢C1150付近に長さ50㍍くらいのスノー・ブリッジがかかっていた。
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■詳報
<28日>
 金曜夜の出発はいつもバタバタする。27日夜、早目に出発できるごっとん、丸ちゃん、モジコの3人は丸ちゃん車で札幌を先発。旭山音楽祭に出たひとみさん、仕事の関係で遅くなった半ちゃん、黒猫の後発3人は黒猫車で21時過ぎに札幌を出発。道東自動車道を使って、ちょうど3時間、24時ごろ、戸蔦別川第6号砂防堰堤横の車止めゲート前に到着。先発3人は既に半ば就寝状態だった。芽室インターで降りて、町内のコンビニで安着ビールなどを調達。高速料金はばかにならないが、道東道全面開通の恩恵は確かに大きい。遅かったので、半ちゃんと黒猫の2人で車内で安着祝いをささやかに行い就寝した。
 4時に起床して準備を整え、5:20にゲート前を出発した。天気は曇っているが、さほど悪くない。戸蔦別川林道からエサオマン戸蔦別林道に入り、小一時間でエサオマントッタベツ川本流に入渓。沢に入ってからは河原、巻き道を進むこと2・5時間で、山スキー沢出合(c997分岐)に着いた。川岸から5㍍くらいのところに整地されたテン場があり、そこにBCを設営することにした。周囲をいろいろ探したが、結局、手間を掛けずにジャンボテントを張れるのはそこくらいしかなかった。
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 BC設営、ビール冷やしで小一時間を要し、アタック装備でBCを8:55に出発し、左股(山スキー沢)に入った。出だしは小さな沢というイメージだが、やがて両側が開けてくる。c1150付近に長さ50㍍くらいのスノーブリッジがかかっていた。あと数日もすれば落ちそうに見え、ここは上を歩くことにし、分厚そうな右側を選んで、間隔をあけて歩いてクリアした。雪渓の先には見事なナメ滝が連なっており、c1400くらいまで、ほとんど川床はナメ滝状態で、長大な岩盤の上を水流が流れていると言ったほうがいいだろう。すべて直登できてしまうナメ滝ばかりで、何とも楽しい。トイ状の滝、幅広の滝、苔蒸した滝…、とにかくいろいろな形状、雰囲気のナメ滝が次々と現れ、登る者を飽きさせない。ただ逆相で傾斜がそれなりにあるところが連なり、「行きは良い良い、下りは怖い」と言うべきか。
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 やがて、11:30にc1380二股に達し、水流の多い左股へ。このころになると、ガスが低く立ち込め、一時小雨もぱらつき、強風が突きぬける音も間近に聞こえるようになった。そんな中、c1560で水が切れ、涸れ沢を登って行く。いくつもの枝沢が出現するようになり、太い沢を選びながら高度を上げるも、そのうちにc1780くらいでヤブに突入し、やがて猛烈なハイマツ・ブッシュ帯にぶつかり、進行スピードが極端に落ちる。帰りの時間を考えて「14時」がタイムリミットと考えていたが、この調子では山頂は無理と判断せざるを得なかった。稜線はすぐそこという感じに見え、先頭のごっとんによれば、進行方向先の左側の斜面が下がっているという。GPSの標高ではc1815㍍となっており、おそらくは西峰手前と思われるが、メンバーにここを最後に引き返すことを確認し、無念の撤退となった。あとでGPSの軌跡を確認すると、西峰のピークまで標高差30㍍余りのところだった。天気が良ければもう少し突っ込んでも良かったろうが、視界不良のこの天気では諦めもついた。あとは来たルートを忠実に下る。
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苔が生えたナメ滝のクライムダウンは神経を使い、意外に時間がかかった。
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途中、懸垂下降を1回、右岸の草付きの高巻き1回を経て、17:20にBCに着いた。焚火おこしを任せて、半ちゃん、黒猫の2人で釣り棹を出し、3匹ずつオショロコマをゲット。魚影は濃いのだが、意外にすれていて、入れ食いというわけにはいかなかった。塩焼き、バター焼きでいただく。焚火を囲んで夜は更けていった。

<29日>
 4時に起床し、前日足をひねり、「今日はテントキーパーを務めたい」という
ひとみさんを残して5人で5:35、アタック装備でBCを出発。空は曇り空で、上部には薄くガスがかかっている。エサオマントッタベツ川本流を行くうちに天気はどんどん回復、青空も見えるようになり、テンションも上がった。前方には北東カールが見え、わくわく感が増してくる。2週間前に行ったY成さんたちの記録では、c1235付近から約300㍍、雪渓が沢を埋めていたようだが、この日は沢の両側にスノー・ブリッジの残骸が残る程度で、確実に雪解けは進んでいた。エサオマン本流名物のナメ滝を快調に登って行く。昨日の山スキー沢のナメ滝に比べれば傾斜も緩く楽に感じた。BC出発から2時間弱で北東カールに飛びだし、素晴らしいカールの光景が広がった。研究者の間でも日高山脈の20余りのカールの中で最も美しいカールと言われるエサオマン北東カールはやはり素晴らしい。雪渓前で大休止し、水を補給。そそり立つカール壁と草原の光景を目に焼き付ける。
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 北東カールから稜線に上がるルートはいくつかあるようだが、最もノーマルと思われる札内JP(1869)東の尾根上ピークに突き上げるルンゼを行く。カール壁上部から北東カールを見下ろすと、その向こうにエサオマントッタベツ岳が鋭角的にそそり立ち、日高らしいいい眺めだ。稜線に出れば、南にカムエク方面、北に幌尻方面の緑の主稜線が視界に飛び込んできて感動もひとしおだ。あとは札内JPを越え、エサオマン岳まで夏道状の踏み跡をルンルン気分で稜線漫歩。それにしても、間近で見るエサオマン岳は素晴らしい。
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見た目が実に美しい山だと思う。9:35に山頂に達した。山頂からは、エサオマン川本流を挟んで、札内岳がよく見える。正面に昨日登った山スキー沢の沢筋がくっきりと見え、あと少しだったと悔しい思いが込み上げてくる。
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 山頂で30分滞在、眺めをたんのうしたあとは、来た道を帰る。約3時間で13:15にBC着。ひとみさんがテントを撤収してくれていたので、スムーズにBCを13:50にスタート。エサオマン川本流を3時間下り、さらに小1時間で17:05、ゴールの戸蔦別林道車止めへ。2日間とも11-12時間のロング行動となった。
 下山後は芽室町の街中にある「スーパー銭湯 温泉 鳳乃舞」で入浴し、とんかつの「赤ずきん」で夕食を取って、再び道東道で帰札した。 (by kuroneko)

by babishe2009 | 2012-07-30 07:52 | 山行部
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札幌発バビシェ・マウンテン・クラブの活動記録です


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